痔とは

痔(じ)は、肛門やその周囲に起こる病気の総称で、日本人の約3人に1人が経験するといわれる非常に身近な疾患です。
「排便時に血がつく」
「肛門が痛い」
「いぼのようなものが出てくる」
といった症状でお悩みの方も多いのではないでしょうか。
痔そのものは命に関わる病気ではなく、適切な治療によって症状の改善が期待できます。しかし、最も注意していただきたいのは、「出血=痔」と自己判断しないことです。
血便や排便時の出血は、痔だけでなく、
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
- 潰瘍性大腸炎
- 感染性腸炎
など、大腸の病気でもみられる症状です。
実際に当院でも、「以前から痔があるから大丈夫だと思っていた」という患者様の大腸カメラ検査で、大腸ポリープや大腸がんが見つかることがあります。
神戸市中央区・三宮のとよだ内科・内視鏡クリニックでは、痔の症状を適切に評価するとともに、必要に応じて大腸カメラ検査を行い、重大な病気の見逃しを防ぐことを大切にしています。
このような症状はありませんか?
以下のような症状がある場合は、一度ご相談ください。
- 排便時に鮮やかな赤い血がつく
- トイレットペーパーに血液が付着する
- 便器が赤く染まることがある
- 肛門に痛みや違和感がある
- 肛門の周囲にかゆみがある
- 肛門にいぼのような膨らみを触れる
- 排便時に何かが飛び出す感じがする
- 肛門周囲が腫れて強く痛む
- 下着に血液や分泌物が付着する
- 血便に加えて便秘や下痢、便が細くなるなどの症状がある
特に、40歳以上の方や、便通異常・体重減少・貧血を伴う場合は、大腸の精査も重要です。
痔の種類
痔は大きく「痔核(いぼ痔)」「裂肛(切れ痔)」「痔ろう」の3つに分類されます。
いぼ痔(痔核)
痔の中で最も多いタイプです。
肛門周囲の血流障害により血管組織が腫れ、いぼ状に膨らみます。
内痔核:肛門の内側(直腸側)にできる痔です。
- 排便時の出血
- 排便時の脱出(飛び出し)
- 肛門の違和感
知覚神経の少ない部位にできるため、痛みを伴わないことが多いのが特徴です。
外痔核:肛門の外側にできる痔です。
- 肛門の腫れ
- 強い痛み
- 違和感
を伴うことが多く、血栓(血豆)ができる「血栓性外痔核」では突然強い痛みを生じることがあります。
切れ痔(裂肛)
硬い便や強いいきみにより、肛門の皮膚が裂けた状態です。
主な症状は、
- 排便時の鋭い痛み
- 排便後もしばらく続く痛み
- 少量の出血
です。
便秘を繰り返すことで慢性化すると、肛門が狭くなる「肛門狭窄」を起こすことがあります。
痔ろう(肛門周囲膿瘍)
肛門周囲の細菌感染によって膿がたまり、その後、肛門内部と皮膚の間にトンネル状の通路(瘻管)が形成された状態です。
以下のような症状がみられます。
- 肛門周囲の強い痛み
- 発熱
- 肛門周囲の腫れ
- 膿の排出
痔ろうは自然治癒することは少なく、手術が必要となることが多い疾患です。
当院では必要に応じて、連携する肛門外科専門施設をご紹介しています。
痔の原因
痔は、日常生活の習慣が大きく関係しています。
排便時の強いいきみ
便秘による強いいきみは、肛門周囲の血管に負担をかけ、痔核の原因になります。
一方で、下痢が続く場合も肛門への刺激となり、痔を悪化させることがあります。
便秘・食物繊維不足
食物繊維や水分が不足すると便が硬くなり、裂肛や痔核の原因になります。
長時間の座位・立位
デスクワークや長時間の立ち仕事は、肛門周囲のうっ血を引き起こしやすくなります。
妊娠・出産
妊娠中は腹圧の上昇や骨盤内の血流変化によって痔が生じやすくなります。
排便習慣
長時間トイレに座る習慣や、スマートフォンを見ながらの排便は、肛門への負担を増やす原因となります。
痔の発生には、日常的な生活習慣が大きく関わっています。
痔と大腸がんの関係
ここで最もお伝えしたいのは、「血便=痔」と決めつけないことです。
痔による出血と、大腸がんや大腸ポリープによる出血は、見た目だけでは区別できないことがあります。
例えば、
- トイレットペーパーに血が付く
- 便器に血液が落ちる
- 鮮やかな赤色の血便がある
といった症状は、痔でも大腸がんでも起こる可能性があります。
また、「痔がある」ことと「大腸がんがない」ことは同じ意味ではありません。
実際に当院でも、痔の症状で受診された患者様の大腸カメラ検査で、大腸ポリープや大腸がんが見つかるケースがあります。
特に、
- 40歳以上の方
- 便潜血陽性の方
- 便通異常を伴う方
- 貧血や体重減少がある方
- ご家族に大腸がんの方がいる方
では、一度大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。
便潜血陽性を「痔」と決めつけない
健康診断で便潜血検査が陽性となった際、
「痔があるから、そのせいだろう」
と考えて精密検査を受けない方がおられます。
確かに、痔は便潜血陽性の原因の一つです。
しかし、便潜血検査では、「どこから出血しているか」までは分かりません。
痔による出血なのか、大腸ポリープなのか、大腸がんなのかを確認するためには、大腸カメラ検査で大腸全体を直接観察する必要があります。
便潜血陽性にもかかわらず精密検査を受けず、数年後に進行した大腸がんが見つかるケースもあります。
便潜血陽性と指摘された場合は、痔の有無にかかわらず、大腸カメラ検査を受けることが重要です。
神戸市中央区・三宮のとよだ内科・内視鏡クリニックでは、鎮静剤を用いた苦痛の少ない大腸カメラ検査を行い、大腸がんの早期発見・予防に努めています。
「痔だと思うけれど、本当に大丈夫かな?」
そんな不安がある方は、お気軽にご相談ください。