潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こり、びらん(ただれ)や潰瘍を形成する炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)の一つです。国の指定難病に認定されており、日本国内の患者数は年々増加しています。
主な症状は、血便、下痢、腹痛などですが、症状が落ち着く「寛解期」と悪化する「活動期」を繰り返すことが特徴です。そのため、長期的な治療と定期的な経過観察が重要になります。
潰瘍性大腸炎は20~30代の若い世代に多く発症しますが、小児から高齢者まで幅広い年代でみられます。
「痔だと思っていた血便が続いている」
「下痢がなかなか治らない」
「若いから大丈夫と思っていた」
このような方の中に、潰瘍性大腸炎が隠れていることがあります。
確定診断には、大腸カメラ検査(下部消化管内視鏡検査)による粘膜の観察と組織検査が欠かせません。
神戸市中央区・三宮のとよだ内科・内視鏡クリニックでは、潰瘍性大腸炎が疑われる方の診断から、診断後の定期的な内視鏡検査、長期的な治療サポートまで対応しています。
このような症状はありませんか?
以下のような症状が数週間以上続いている場合は、潰瘍性大腸炎の可能性があります。
- 下痢が続いている
- 血便や粘血便(血液や粘液が混じった便)が出る
- 排便回数が以前より増えた
- 腹痛や腹部の違和感が続いている
- 急な便意(便意切迫感)がある
- 排便してもすっきりしない(残便感)
- 微熱や全身のだるさが続く
- 食欲低下や体重減少がある
- 貧血を指摘された
特に、「血便があるのに痔だと思って様子を見ている」「市販薬を使っても改善しない」という場合は、一度ご相談ください。
潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎の原因は、現在も完全には解明されていません。
遺伝的な体質に加えて、
- 免疫機能の異常
- 腸内細菌叢(腸内フローラ)の変化
- 食生活などの環境因子
が複雑に関与して発症すると考えられています。
本来、免疫は細菌やウイルスなどから身体を守るために働いています。しかし、潰瘍性大腸炎では、この免疫機能が過剰に反応し、自分自身の大腸の粘膜を攻撃してしまうことで慢性的な炎症が生じます。
20~30代で発症することが多い一方、高齢で発症することもあります。
また、ストレスそのものが直接の原因ではありませんが、疲労や生活環境の変化、ストレスなどが症状悪化(再燃)のきっかけになることがあります。
潰瘍性大腸炎の分類
潰瘍性大腸炎は、炎症が及ぶ範囲によって以下のように分類されます。
直腸炎型
炎症が直腸のみに限局するタイプです。
比較的軽症のことが多く、
- 血便
- 粘血便
- 排便時の違和感
などが主な症状です。
適切な治療によって良好な経過をたどることが多い一方、一部では炎症範囲が大腸全体に拡大することがあります。
左側大腸炎型
炎症が直腸から脾弯曲部(大腸の左側の曲がり角)まで及ぶタイプです。
- 下痢
- 粘血便
- 腹痛
- 排便回数の増加
などがみられます。
症状が日常生活に影響を及ぼすこともあり、適切な治療による炎症コントロールが重要です。
全大腸炎型
炎症が大腸全体に広がるタイプです。
- 頻回の下痢
- 血便
- 腹痛
- 発熱
- 体重減少
- 貧血
などを伴うことがあります。
また、発症から長期間経過した全大腸炎型では、大腸がんのリスクが高くなることが知られています。そのため、定期的な大腸カメラ検査によるサーベイランス(がん監視)が重要になります。
潰瘍性大腸炎の検査
大腸カメラ検査による診断
潰瘍性大腸炎の診断には、大腸カメラ検査が不可欠です。
大腸粘膜を直接観察することで、
- 炎症の有無
- 炎症の広がり
- 炎症の強さ(活動性)
- 他の疾患との鑑別
を行います。
さらに、組織を採取して病理検査を行うことで、診断の確定につなげます。
当院では、BLIやLCIなどの画像強調観察を活用し、通常観察では評価が難しい軽微な炎症変化も丁寧に観察しています。
また、鎮静剤を使用した苦痛の少ない大腸カメラ検査にも対応しており、不安なく検査を受けていただけるよう努めています。
定期的な経過観察(サーベイランス)
潰瘍性大腸炎と診断された方は、症状が落ち着いている寛解期であっても、定期的な大腸カメラ検査が重要です。
特に、
- 発症から8~10年以上経過している方
- 炎症範囲が広い方
では、大腸がんのリスクが一般の方より高くなることが知られています。
そのため、定期的なサーベイランス内視鏡によって、前がん病変や早期大腸がんを見逃さないことが大切です。
当院では、消化器内視鏡専門医が検査を担当し、病理診断とあわせて総合的に評価しています。
潰瘍性大腸炎の治療
潰瘍性大腸炎の治療の基本は薬物療法です。
主な治療薬には、
- 5-ASA製剤(メサラジンなど)
- ステロイド製剤
- 免疫調節薬
- 生物学的製剤
- JAK阻害薬
などがあります。
症状や炎症の程度に応じて、適切な治療を選択します。
治療の目標は、単に症状を改善させる(寛解導入)だけではありません。
現在では、「症状がない状態」だけでなく、「内視鏡で粘膜の炎症が治まった状態(粘膜治癒)」を目指すことが重要と考えられています。
粘膜治癒を達成することで、
- 再燃の予防
- 入院リスクの低下
- 手術リスクの低下
- 大腸がんリスクの低減
が期待できます。
症状が落ち着いていても、自己判断で薬を中断すると再燃することがあります。継続的な通院と定期的な評価が大切です。
重症例や高度な治療が必要な場合には、神戸大学医学部附属病院などの専門施設と連携し、入院治療や外科治療へ迅速につなげています。
当院では、地域のかかりつけ医として、日常診療から定期的な内視鏡フォローアップまで、長期的にサポートいたします。