感染性腸炎とは

感染性腸炎とは、細菌やウイルス、寄生虫などの病原体が腸に感染し、腸の粘膜に炎症を起こす病気です。一般的に「お腹の風邪」や「食中毒」と呼ばれるものの多くがこれに該当します。
突然の下痢、腹痛、吐き気、嘔吐、発熱などを引き起こし、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。特に仕事や学校を休めない方にとっては、「いつ治るのか」「感染を広げないか」といった不安を感じることも少なくありません。
多くの場合は数日から1週間程度で自然に改善します。しかし、
- 血便がある
- 高熱が続く
- 強い腹痛がある
- 脱水症状を伴う
- 症状が長引いている
といった場合には、単なる感染性腸炎ではなく、潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸がんなど別の病気が隠れている可能性もあります。
神戸市中央区・三宮のとよだ内科・内視鏡クリニックでは、消化器病専門医が感染性腸炎の診療を行い、必要に応じて大腸カメラ検査を実施し、重大な疾患を見逃さない診療を心がけています。
このような症状はありませんか?
以下のような症状がある場合は、感染性腸炎の可能性があります。
- 突然、水のような下痢が始まった
- 下痢とともに腹痛がある
- 吐き気や嘔吐を伴っている
- 37.5℃以上の発熱がある
- 食事の後から急にお腹の調子が悪くなった
- 生肉、生魚、加熱不十分な食品を食べた後に症状が出た
- 家族や職場、学校で同じような症状の人がいる
- 海外旅行後に下痢が続いている
- 血便が出ている
- 下痢や腹痛が1週間以上続いている
特に血便、強い腹痛、高熱、脱水症状を伴う場合は早めの受診をおすすめします。
感染性腸炎の原因
感染性腸炎の原因となる病原体には、細菌、ウイルス、寄生虫などがあります。
細菌性腸炎
細菌性腸炎は、汚染された食品や十分に加熱されていない食材を介して感染することが多く、特に夏場に増加する傾向があります。
主な原因菌には以下があります。
| 原因菌 | 主な感染源 | 特徴 |
|---|---|---|
| カンピロバクター | 鶏肉、生レバー | 日本で最も多い細菌性腸炎 |
| サルモネラ菌 | 卵、鶏肉 | 発熱を伴うことが多い |
| 腸炎ビブリオ | 生魚・魚介類 | 夏季に多い |
| 腸管出血性大腸菌(O157など) | 牛肉、二次感染 | 激しい腹痛と血便 |
| 黄色ブドウ球菌 | 作り置き食品 | 嘔吐が主体 |
特にO157感染症では、まれに重篤な合併症を起こすことがあるため注意が必要です。
ウイルス性腸炎
ウイルス性腸炎は冬季に多くみられ、非常に感染力が強いことが特徴です。
主な原因ウイルスは、
- ノロウイルス
- ロタウイルス
- アデノウイルス
- サポウイルス
などです。
突然の嘔吐や水様性下痢が特徴で、家庭内や学校、施設などで集団感染を起こすことがあります。
症状が改善した後もしばらくウイルスが排泄されるため、手洗いを徹底し、適切な消毒を行うことが大切です。
寄生虫・その他の感染症
以下のような感染もみられます。
アニサキス症
生魚に寄生するアニサキスによって起こります。
胃に寄生すると激しい胃痛を起こしますが、腸に寄生した場合は強い腹痛や腸炎症状を認めることがあります。
旅行者下痢症
海外渡航中や帰国後に起こる下痢症です。
発展途上国への渡航歴がある場合には、
- 毒素原性大腸菌
- 赤痢菌
- 腸チフス
なども考慮する必要があります。
感染性腸炎の症状の経過
感染性腸炎の症状は、原因となる病原体によって異なりますが、一般的な経過は以下のとおりです。
急性期(発症~数日)
病原体に感染してから数時間〜数日の潜伏期間を経て、
- 下痢
- 腹痛
- 吐き気・嘔吐
- 発熱
などが突然出現します。
下痢の回数が多くなると脱水症状を起こすことがあります。
特に、
- 高齢者
- 小児
- 持病のある方
では重症化しやすいため注意が必要です。
回復期
多くの場合、数日〜1週間程度で症状は改善します。
症状が落ち着いても腸の機能が完全に回復するまで時間がかかるため、
- おかゆ
- うどん
- スープ
- 消化の良い食事
などを少量ずつ摂るようにしましょう。
脂っこい食事やアルコールは症状を長引かせることがあります。
感染後過敏性腸症候群(PI-IBS)
感染性腸炎が治った後も、
- 下痢
- 腹痛
- 腹部膨満感
などが数か月続くことがあります。
これは感染後過敏性腸症候群(PI-IBS)と呼ばれ、感染によって腸の機能が変化することで起こると考えられています。
症状が続く場合は、適切な治療によって改善が期待できます。
症状が長引く場合
以下の場合は、感染性腸炎以外の病気も考慮する必要があります。
- 2週間以上下痢が続く
- 血便を繰り返す
- 夜間も下痢で目が覚める
- 体重減少がある
- 貧血を指摘されている
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患、大腸がんなどを除外するため、大腸カメラ検査を検討します。
感染性腸炎の検査
問診・血液検査・便検査
診察では、
- 症状の経過
- 食事内容
- 周囲の感染状況
- 海外渡航歴
- 服用中のお薬
などを詳しく確認します。
必要に応じて、
- 血液検査
- 便培養検査
- 便中病原体検査
を行い、原因の特定や炎症の程度を評価します。
大腸カメラ検査が必要な場合
感染性腸炎では通常、大腸カメラ検査は必要ありません。
しかし、
- 血便が続く
- 症状が改善しない
- 炎症性腸疾患が疑われる
- 原因不明の下痢が長期間続く
- 大腸がんとの鑑別が必要
といった場合には、大腸カメラ検査による詳しい評価を行います。
当院では、消化器内視鏡専門医が検査を担当し、粘膜の炎症パターンを詳細に観察するとともに、必要に応じて組織検査を行い、正確な診断につなげています。
「ただの胃腸炎だと思っていたら潰瘍性大腸炎だった」というケースもあります。症状が長引く場合は一度ご相談ください。
感染性腸炎の治療
対症療法が基本
多くの感染性腸炎では、
- 十分な水分補給
- 安静
- 消化の良い食事
が治療の基本となります。
経口補水液は、脱水予防に有効です。
薬物療法
細菌性腸炎で重症例や特定の細菌感染が疑われる場合には、抗菌薬(抗生物質)を使用することがあります。
一方で、すべての感染性腸炎に抗菌薬が必要なわけではありません。
また、病原体によっては下痢止めの使用が病状を悪化させる場合もあるため、市販薬を自己判断で使用する前にご相談ください。
受診の目安
以下の場合は、早めの受診をおすすめします。
- 血便がある
- 38℃以上の高熱が続く
- 強い腹痛がある
- 水分が摂れない
- 尿量が減っている
- めまいや強い倦怠感がある
- 下痢が1週間以上改善しない
- 症状を繰り返している
また、症状が落ち着いた後も下痢や腹痛がなかなか戻らない場合は、他の疾患が隠れている可能性もあります。長引くお腹の不調は放置せず、ご相談ください。
とよだ内科・内視鏡クリニックの感染性腸炎診療
「食あたりだろう」「そのうち治るだろう」と思っていても、症状が長引く場合には別の病気が隠れていることがあります。
とよだ内科・内視鏡クリニックでは、感染性腸炎の診療だけでなく、必要に応じて大腸カメラ検査を行い、潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸がんなどの重大な病気を見逃さない診療を心がけています。
急性の胃腸炎症状でお困りの方、なかなか改善しない下痢や腹痛でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。適切な診断と治療によって、一日でも早く安心して日常生活を送れるようサポートいたします。